2月4日。立春とはいえ、倉敷の空気はまだ冷たいままです。 今日は、以前から進めていたSRB(スタンディングレイズドベッド)の最終工程である「土入れ」と、少し様子がおかしかったクリスマスローズの「緊急オペ」を行いました。
どちらの作業でも痛感したのは、植物の地上部(UI)よりも、地下部(バックエンド)の設計がいかに重要か、そして既製品や定石を盲信することの危うさでした。
苗の土が「粘土」だった件
先日購入したクリスマスローズの苗のうち、一番小さな株だけが葉枯れを起こしていました。 「寒さかな?」と思いつつ、念のため鉢から抜いてみて絶句しました。根鉢がまるで「粘土細工」のようにカチカチに固まっていたのです。
生産者さんが使う土は、保水性を極限まで高めるためにピートモスや粘土質が多く含まれていることがあります。これは何万株も管理するプロの現場では「水切れを防ぐ」ための合理的な選択ですが、家庭の環境に持ち込まれた瞬間、それは「一度乾くと水を弾き、一度濡れると窒息する」という時限爆弾に変わります。
禁忌の「根洗い」と、自作ブレンドへの移行
通常、クリスマスローズの根はいじらないのが鉄則ですが、このままでは窒息死が確定です。 私はバケツに水を張り、その中で根を振って泥のような土をすべて洗い流す「根洗い」を敢行しました。現れた根は呼吸困難で弱っていましたが、まだ生きています。
そして、新しいベッドとして用意したのが、SRB用に調達した資材で作った「排水性全振り」の自作ブレンドです。
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硬質赤玉土(小粒・中粒ミックス)
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腐葉土
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鹿沼土
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パーライト
これを「5:3:1:1」程度の比率で混ぜ込みました。 水を与えた瞬間、スッと底から抜け落ちるこの感覚。市販の「草花用培養土」のようなフカフカしたスポンジ感とは全く違う、ゴツゴツとした「岩場の環境」の再現です。これで呼吸ができるはずです。
SRBの底が「ぬか床プール」になった誤算
一方、庭の主役であるSRBの方でも、興味深い(そして少し冷や汗が出る)トラブルが発生しました。
SRBの底には、微生物資材「カルスNC-R」と米ぬか、そして大量の落ち葉を敷き詰め、踏み固めて堆肥化させる層を作っています。その一番底には、土漏れ防止のために「防草シート」を敷いていました。
今日、その上から土を入れ、最初の水やりをした時のことです。 水が抜けない。 底を見ると、防草シートの上に水が溜まり、タプタプのプール状態になっていました。
米ぬかによる「目止め」現象
原因はすぐに分かりました。「米ぬか」です。 カルスの餌として投入した米ぬかが水に溶け、防草シートの微細な網目に入り込み、まるでパテで埋めたように「コーティング」してしまっていたのです。 防草シートはただでさえ目が細かいのに、そこに糊状のぬかが加われば、水を通すはずがありません。
物理的なデバッグ(ハサミを入れる)
このままでは底が腐敗し、SRB全体が巨大なドブになってしまいます。 私は躊躇なく、スノコ状になっている底板の隙間からハサミを差し込み、防草シートをジョキジョキと切り裂きました。
すると、堰を切ったように水が排出されました。 上に10cm以上の圧縮された落ち葉層があるため、シートを切っても土が漏れ出すことはありません。
「カルス(米ぬか)を使うなら、防草シートは使うな」 これは今後DIYでレイズドベッドを作る人への重要な教訓になりそうです。底に敷くのは、目が詰まりやすい不織布や防草シートではなく、少し網目の粗い「防風ネット」や「鉢底ネット」が正解でした。
土の建築を終えて
トラブルはありましたが、全てのSRBに土が入りました。 硬質赤玉土をベースにしたその土は、スコップを入れるとザクッとした手応えがあり、水を吸い込む音が聞こえるようです。
地面と戦うのではなく、地面から切り離された箱の中で、理想の物理環境を一から構築する。 今日の作業で、私の庭は単なる「植物を植える場所」から、意図を持って設計された「装置」へと進化した気がします。あとは、自然(植物)の生命力にバトンタッチです。